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【本の感想】未知、既知、その境界、隙が無くて面白い【妻のオンパレード The cream of the notes 12】

〇本の感想
〇本の感想

年末年始の帰省の移動中に読んだ。

相変わらずおもしろい。

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概要

シリーズの概要

著者である森博嗣氏が
毎年年末に出している
つぶやき100個+それらの解説本。

本作がの12作目。

歴代タイトル

これまでのシリーズタイトルは

  1. ぶやきのくりむ(つぶやきのクリーム)
  2. ぼやきのてりぬ(つぼやきのテリーヌ)
  3. ぼねのかとりぬ(つぼねのカトリーヌ)
  4. んどらもんすん(ツンドラモンスーン)
  5. ぼみきのこむす(つぼみ茸ムース)
  6. ぶさにみるふぃゆ(つぶさにミルフィーユ)
  7. きよのさらさて(月夜のサラサーテ)
  8. んつんぶらざず(つんつんブラザーズ)
  9. べるくりんむちょ(ツベルクリンムーチョ)
  10. いかいのこよて(追懐のコヨーテ)
  11. みきしんどろむ(積み木シンドローム)
  12. まのおんぱれど(妻のオンパレード)

であり、
タイトルの共通点は

  • 「つ」で始まって
  • 最後から2番目は「ー」で
  • 全9文字

であること。
小さい文字は文字数にカウントせず

第一作である
つぶやきのクリームの和訳が
「つぶよりなつぶやき」
で名が体を表していて、
以降は言葉遊びなタイトルに
なっている。

シリーズ名としては

  • クリームシリーズ
  • 「つ」で始まるシリーズ

とか書かれているのを
見たことがある。

もう1作目が出てから12年か、、、

つぶやきの分類

つぶやき集だから
内容に統一性はないんだけど、
ボクが分類わけするなら

  • 国語系 (28.「しかない」「すぎる」という強調表現によって失われた機微に思いを馳せる。)
  • 社会系 (21.多数の老人が少数の若者に支えられている?まだ、その反対なのでは?)
  • 時事系 (95.選挙中の銃撃についてボクが思ったのは、街頭演説がなぜ必要なのか?である。)
  • 著者の日常系 (43.奥様はガーデナ。)
  • その他 (17.アドバイスをする目的は、相手に好かれることではない。)

って感じかと。
()内は本書におけるつぶやきの例目次より抜粋。

分類わけは「その他」を入れれば
抜け漏れが無くなるからいいよね(笑)

初期は時事系は
全くなかったんだけど、
2~3年前くらいから登場。

理由としては
長く語られるネタ
(ウクライナ侵略、新型コロナ)
だからとのことなんだけど、

好評らしいから今後も
ぽつぽつ出てくるかな?

本書には
そのものズバリっていう
時事ネタはないけど、
これが元ネタだろうなぁ
っていう時事ネタは
何個かあるように思える(後述)。

全体の感想

100個それぞれのネタは
自分にとって

  1. 全く考えもしなかったこと
  2. 考えてはいたけど結論が出ず(言語化できず)棚上げしていたこと
  3. 既に考えていたこと

の3つに分けられるんだけど、


全く考えもしなかったこと
からの学びと、


考えてはいたけど
結論が出ず(言語化できず)
棚上げしていたこと
が言語化されているインパクトと、


既に考えていたことに対する
「やっぱそう思うよね!」感

を味わうことが、
ボクにとって本書を
読む価値だと思っている。

具体例は後述。

これらの中でも特に
②に魅力を感じるんだけど、
これって言い換えれば
自分で考え切れてない
ってことだから、
思考力という意味では
②の魅力が減って③の魅力が
増えたほうがいいのかも
しれない。

当然
中にはハズレのネタもあるけど、
100個もあるんだから
それはしかたがない。

気になったフレーズ 5選

以下、
気になったフレーズと
その感想を書いていく。

正直ネタ100個中の70個くらいに
気になるフレーズがあるんだけど、
それだとキリがないし
著作権的にアウトだと思うから、
上述した分類、

  • 国語系
  • 社会系
  • 時事系
  • 著者の日常系
  • その他

からひとつずつ挙げてみる。

①「ないです」「いいです」「よかったです」はもう普通になっている。(国語系)

ボクはこれまで
考えたこともなかった系の話。

全然
意識したことが無かったんだけど、
著者が以前にも別の本で
書いていたことが深堀りされていた。

簡単に言うと
「です」は名詞の後に
来るものだから
「ないです」は文法的に誤りで、
著者にとってそういう「です」は
まるでタラちゃんが
話しているように聞こえる

とのこと。

ここまでだったら
「へーそうなんだ」
「時代と共に使われ方も変わっていくよね」
「タラちゃんwww」
で終わりなんだけど、

その後に続く文がこれ↓。

「良かったです」がおかしくない人は、「走ったです」というのだろうか?タラちゃんはそう言っているように思う。タラちゃんを責めているのではない。

妻のオンパレード 3/100

「タラちゃんを責めているのではない。」
がこれぞ森博嗣節って感じで最高。

これを読んだ後、
人の言葉に「です」が入ってると
「今のはタラちゃん語か?」
考えるようになってしまった(笑)

②お札もお守りも霊感商法(社会系)

たぶん統一教会問題を
一般化したんだと思う。

このフレーズは
「宗教って、そもそも全部、霊感商法なのではないか」と書いたら叱られる?
というネタ内に書かれた
フレーズなんだけど、
このネタに書かれていること
全てに対して
ボクもそう考えてた!
となって
めっちゃテンションが上がった(笑)

ボクにとっては
お坊さんが家に侵入してきて
仏壇の前で
ムニャムニャ言うだけで
何十万円ものお金がうごく
(しかも非課税!)のは意味不明で
霊感商法に他ならないんだけど、
ボク以外は
疑問を抱いてないっぽかった。
少なくとも表には出していなかった。
世間体とか土着のアレコレとかしがらみがあるのかな?
いずれにせよボクは不健全だと思った。

このニュースとか、「アホか?」と。
48歳男性が青ざめた…「お布施」の金額でお坊さんの怒りを買い、さらに「恐れていること」

ほんとこのページは
全文引用したいくらいだけど、
それはグッとこらえて
本質っぽい(とボクが思っている)
内容をまとめると、

  • 金額に見合うだけのナニカが交換されることが商売
  • 当事者同士が交換に合意すれば成立する
  • そこに第三者の審査はいらない
  • だからまっとうな商売も霊感商法も詐欺もグラデーション
  • 犯罪かどうかはどこに線引きするの?

ということ。

線引きが困難な例として
神を信じた人と馬を信じた人が
挙げられていて、
納得感がすごかった↓。

馬に金を注ぎこんで(中略)不幸に巻き込まれた子供たちは、競馬に誘うような宣伝をTVで流していたではないか、と訴えるかもしれない。

馬券を売るときに、家庭環境が健全であることを確認しなかったのは、どうしてなのか、と糾弾されないのは、何故なのだろうか?

妻のオンパレード 6/100

ボクの親は
100均の2Lボトルに入った
“波動水”なる水を5,000円で
買ってたんだけど、
これは親が一時的(と思いたい)に
価値観をバグらされたことで
5,000円とただの水2Lの交換が
正当であると判断しちゃった
からなんだよな~

あとは在職時代の経験上、
コンサルっていうのも
特に線引きが難しい
部類に属すると思う。
度胸さえあれば誰でもできちゃうよ、あんなの

③理屈でなく感情に訴えることで大衆をコントロールできる、と踏んでいる(時事系)

ボクにとっては、
漠然と考えてたけど
言語化してこなかった系の話。

これは処理水問題を
受けての内容だと思う。

処理水反対記事の中には
「そんなにエビデンスが大事なのか」
みたいな
ボクからしたらとんでもない
主張が大手メディアから
されていたと記憶している。

ただ、
SNSの普及等によって
理屈を聞かず感情でしか
動かないタイプの人の声が目立つ

ようになってきており
(普通の人はわざわざ発信しないから)、
そういった人に対しては
感情に訴えることが効果的なので、
見かけ(SNS)上は
この手法は有効に見える。

本当に
見かけ上だけで済めばいいけど、、、

とボクは思っている。

日本の教育に期待したい。

③’大勢の意見が反映されない理由は、それが「意見」ではないから(時事系)

上とセットで気になったフレーズ。

意見じゃないならなんなの?
というと、
ただのお気持ち。

上と同じく
原発処理水問題に対応させると、
さんざん反対意見が出ても
処理水が放出されたのは、
お気持ちに対して
イチイチ応えてなんかいられない

から。

本書には
それを実現するための方法を持っていなければ、意見として無意味
(=意見ではない)と書かれている。

もし
処理水を放出することによる
悪影響の根拠と、
放出せずに処理水を廃棄する
方法が提示されていれば、
少しは議論になったかもしれない。

繰り返しになるけど、
ボクはいずれお気持ちだけで
政治が動くように
なってしまうのではないかと
危惧している。
最近SNSで話題になってる
NPO等のいわゆる公金チューチュー問題とかを

見てるとね、、、

中枢の人材には
まともであってもらいたい。

こう考えると水産物の輸入を禁止した中国って、、、
いや、きっと外交上の戦略とかであって
決してお気持ちで国が動いたわけでは、、、

④便利なデバイスが、効率が良いとは限らない(著者の日常系)

これは
タッチパネルより
物理ボタンの方が良くない?

っていう話からのフレーズ。

個人的には
そうかな…そうかも…
って感じだけど、
ちゃんと読んだら
「~良い(断定)」ではなく
「~良いとは限らない」
となっているので
真か偽かで言えば
間違いなく真。

例として挙げられていた
タッチパネルは、
たしかに触覚を排除しちゃったから
その分不便になったともいえる。

物理ボタンの携帯時代は
ノールックでメールを打てたけど、
タッチパネルのスマホじゃ
それはできないもんね。

年齢のせいかもしれないけど、、、
タッチパネルネイティブの人は
ひょっとしたらできたりして?

えっ、音声入力?
それはまだ各種デメリット(↓)があるから
便利とも効率が良いとも言えない。

この「どちらかといえば」というのは、何なのだ?(その他)

よくある
質問の答えの番号に
チェックをつける書類の話。
日本語系かもしれない

話し言葉と書き言葉が
混ざっちゃってる系

というか、
厳密な書き方をすると
読めない人が出てくるから
読める人が察しろ系

というか、
書類の作り手が何も
考えてない雰囲気お気持ち派系

というか、
なんかそんな感じの
書類に突っ込んでいる。
やっぱり日本語系だな(笑)

ボクにとっては共感系。

以下の引用が全て。

比較的多い設問として、賛成、どちらかといえば賛成、わからない、どちらかといえば反対、反対」の中から選べというものがある。この「どちらかといえば」というのは、何なのだ? イエスかノーかどちらかを選べといわれれば、という意味だと思うが、そもそも、どちらかを選べといわれているのだ。また、どちらかといえば賛成は、賛成の中に含まれないのだろうか? どちらかといえばわからない、という人はいないのか?

妻のオンパレード 13/100 にボクが太字化

ボクがこの手の書類に
思ってることとしては、
否定文に対して
「はい、いいえ」で答えさせるやつ。

あれややこしいから
設問は肯定文で統一してほしい。

特に
外国人向けに英訳した時に
混乱すると思うんだけど、
どうなんだろう?↓

【日本語の場合】

Q:あなたは昨日飲酒していませんか?
A:いいえ

この場合、飲んでる。

【英語の場合】

Q:Didn’t you drink yesterday?
A:No

この場合、飲んでない。

健康診断のアンケートとかって
英語版はどうなってるんだろ?

余談の自分語り。
ボクは留学時代、否定形の疑問文に対して
いつもyes noを逆に回答してしまっていたので、
ある時から
「したらyes、しなかったらNo」
と自分に刷り込ませてた。
結果、帰国後何回かこの手のアンケートに
(日英がこんがらがって)間違った解答をして、

担当者から呼び出されて確認されたことがある

まとめ

  • 森博嗣のクリームシリーズの新刊が出た
  • 相変わらず面白い
  • 漠然と考えていることが言語化されている話が特に良かった
  • 別にこのままでもいいんだけど、自分でも言語化して「これボクも考えたことだ!」っていう話の割合が多くなればいいな、と思った。

それでは~

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